厚生労働省は2026年1月23日、令和8年度(2026年度)年金額改定の概要を公表しました。これにより、国民年金(基礎年金)部分は前年度比で1.9%引き上げ、厚生年金(報酬比例部分)は2.0%引き上げとなります。これは4年連続の増額です。
■ 年金額の改定の仕組み
日本の公的年金の給付額は、「物価変動率」と「名目手取り賃金変動率」の指標に基づいて毎年度改定されます。
年金額の算出では次のルールが用いられます:
- 物価変動率が名目手取り賃金変動率を上回る場合、名目手取り賃金変動率を重視して改定
- そこに「マクロ経済スライド調整」が加味され、年金額の伸び率が抑制されることがある
■ 令和8年度の改定ポイント
1.基礎年金(国民年金)部分
→ 前年度比 +1.9% の引き上げが決定されました。
2.厚生年金(報酬比例部分)
→ 前年度比 +2.0% の引き上げとなります。
3.改定率の背景指標(2026年度分)
厚生労働省公表資料等によれば、年金額の改定率に用いられた2025年の主要指数は次の通りです:
- 物価変動率:+3.2%
- 名目手取り賃金変動率:+2.1%
これらに基づき年金額が改定されています。
4.マクロ経済スライド
給付財政の持続可能性確保のため、「マクロ経済スライド調整」が引き続き適用され、基礎年金は▲0.2%、報酬比例部分は▲0.1%の調整が行われています(令和8年度資料より)。
■ 在職老齢年金の支給停止調整額
2026年4月からは、在職老齢年金の支給停止調整額(いわゆる「報酬比例の調整閾値」)も引き上げられました。従来は51万円でしたが、令和8年度は65万円が適用されます。
年金額の改定は 1973年(昭和48年)の制度開始以降、毎年行われています。
- 給付額の改定は、6月支給分(4月分)から反映されるのが通例です。
- 基礎年金・厚生年金ともに「名目手取り賃金変動率」を基準に改定されている点は、公的年金制度の特徴といえます。
なお、物価上昇率や他の経済指標が高騰している年ほど、「マクロ経済スライド」による調整が大きく働き、実質的な年金価値が目減りする可能性がある点にも注意が必要です。
年金制度は毎年変化します。2026年度の改定ポイントを正しく理解し、企業の人事・労務制度に適切に反映させることが重要です。
