居住面積ではなく総面積で評価へ(2026年度予定)
企業が従業員に住宅を貸与する場合、その経済的利益(いわゆる現物給与)は賃金として評価され、厚生年金保険・健康保険の被保険者報酬の算定基礎に含める必要があります。この評価方法は厚生労働大臣が定める「現物給与の価額」(厚労省告示)によってその具体的な算定方法が規定されていますが、令和8年度(2026年度)にその算定方法が見直される方向です。
■ 何が変わるのか(令和8年度から)
厚生労働省は2026年1月21日付で、現物給与の価額(住宅に係る報酬等)の算定方法を見直す告示案についてパブリックコメントを実施しています。これによると、住宅の現物給与価額について次のような変更が提案されています。
- 算定対象面積が「居住室面積」から「総面積」に変更
→ 従来は「居住用の室」だけを計測し、玄関・廊下・浴室等は除いた居住室面積で評価していましたが、今後はこれらを除外せず、建物全体の総面積を算定対象とします。 - 評価単位が「畳数」から「平米数(㎡)」へ
→ 従来は畳数換算(1畳=約1.65㎡)で評価していましたが、㎡単位で評価します。これにより洋間など畳が敷かれていない場合の換算が不要になります。 - 適用時期
- 食事に係る現物給与価額の見直し → 令和8年4月1日から
- 住宅に係る見直し → 令和8年10月1日から(予定)
■ 現物給与価額とは何か
現物給与とは、従業員に現金以外の利益(例えば貸与住宅・食事・光熱費等)を提供した際、その価値を通貨換算したものです。これらは健康保険や厚生年金の報酬算定基礎に含まれるため、社会保険料の計算にも影響します。
現状の評価方法(令和7年度まで)は、【「居住用の室の面積」×単価(畳数換算)】で評価されており、都道府県ごとの価額表が厚生労働省告示で定められています。
■ なぜ見直すのか(背景)
今回の見直し案は次のような理由で提案されています:
- 現行の居住室面積計算では、玄関や廊下などの非居住空間を除外する必要があるため、実務上の計算負担が大きいこと。
- 畳換算(1畳=1.65㎡)は欧米式住宅や洋間が多い現代の住居実態と乖離していること。
これらを是正し、評価方法を国際的にも分かりやすい㎡ベースに統一することで、事務作業の簡素化や評価の透明性向上が期待されています。
■ 企業実務への影響
現物給与価額の算定方法が変更になると、次のような実務的影響が出ます:
- 社宅貸与による付加価値の評価額が変わる可能性 → 標準報酬算定への影響
- 従業員の給与明細上の評価(現物給与額)が変更される可能性
- 計算方法の変更に伴う 社内規程・労務管理フローの見直し
社宅提供企業は、令和8年10月以降の新しい評価方法に対応した計算式・評価基準を整備する必要があります。
2026年10月以降の新基準に確実に対応するためにも、現物給与評価の見直しポイントを早期に理解し、給与計算・保険料計算の実務へ適切に反映できる体制構築をおすすめします。
