70歳までの就業確保措置、実施企業は34.8%に

― 高年齢者雇用安定法と企業に求められる実務対応 ―

厚生労働省は、令和7年12月19日に「令和7年 高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表しました。
これによると、70歳までの就業確保措置を実施している企業は34.8%となり、前年から2.9ポイント増加しています。

少子高齢化が進む中、高年齢者の就業機会確保は、企業にとっても人材確保・技能承継の観点から重要なテーマとなっています。


1.70歳までの就業確保措置の法的根拠

70歳までの就業確保措置は、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)第10条の2に基づく制度です。

同条では、事業主に対し、「定年後も引き続き70歳までの就業機会を確保するための措置を講ずるよう努めなければならない」と規定しており、努力義務とされています。

一方で、65歳までの高年齢者雇用確保措置については、同法第9条により義務とされており、今回の集計でも99.9%の企業が実施済みという結果となっています。


2.実施されている措置の内訳

今回の厚労省公表資料によると、70歳までの就業確保措置の内容は次のとおりです。

  • 定年制の廃止:3.9%
  • 定年年齢の引上げ:2.5%
  • 継続雇用制度の導入:28.3%
  • 創業支援等措置の導入:0.1%

最も多いのは、「65歳以降も継続して雇用する制度(継続雇用制度)」であり、現行の雇用制度を活用しながら対応する企業が多数派であることが分かります。

なお、「創業支援等措置」は、業務委託や社会貢献活動への従事などを含む制度で、労使協定の締結など、より高度な制度設計が求められる点が特徴です。


3.中小企業・大企業ともに対応が進展

企業規模別に見ると、

  • 中小企業:35.2%(前年差+2.8ポイント)
  • 大企業:29.5%(前年差+4.0ポイント)

となっており、特に大企業での伸びが目立ちます。
人材確保難が深刻化する中で、年齢にかかわらず働ける環境整備が、経営課題の一つとして認識され始めていることがうかがえます。


4.実務上の注意点 ― 制度導入は「作る」だけでは不十分

70歳までの就業確保措置は努力義務とはいえ、

  • 就業規則・再雇用規程の整備
  • 賃金・評価制度の見直し
  • 社会保険・雇用保険の適用関係整理
  • 高年齢者の安全配慮(安全衛生・業務内容の調整)

など、実務対応を誤ると労務トラブルにつながるリスクがあります。

特に、65歳以降の処遇について「一律に下げる」「曖昧な基準で更新しない」といった運用は、トラブルや紛争の原因となるため注意が必要です。


高年齢者雇用は、法令対応と経営判断が密接に関わる分野です。
「努力義務だから後回し」ではなく、将来を見据えた人事制度整備として、早めの対応が企業価値向上につながります。

高年齢者雇用や定年後の制度設計でお悩みの際は、ぜひやまぐちFP社会保険労務士事務所までお気軽にご相談ください。