― 女性の健康配慮を評価する「えるぼしプラス」創設 ―
厚生労働省は、令和8年4月1日より「えるぼし認定制度」を見直し、新たに女性の健康課題に配慮した企業を評価する 「えるぼしプラス(仮称)」 を創設します。本改正は、令和7年版過労死等防止対策白書で明らかになった 女性労働者の精神障害増加 を背景に、企業の労働環境整備をさらに促進することが目的です。
■ 背景:女性の精神障害労災が急増
白書によれば、精神障害の労災請求は近年増加傾向にあり、令和6年度には 3,780件で過去最高。特に女性は令和元年度以降、男性を上回る状況が続いています。
業種別では「医療・福祉」での伸びが顕著で、令和6年度の女性の精神障害(自殺以外)の労災請求は 969件(5年前の2倍以上) に達しました。
こうした状況を受け、国は女性の健康課題に配慮した働き方の推進をより強力に後押しする制度へ改める方針です。
■ 改正①
えるぼし認定基準の緩和(認定しやすくなる)
現行の「えるぼし(1段階目)」では、
- 5つの基準のうち1つまたは2つを満たす
- 満たさない項目は「2年以上連続して改善していること」
が要件でした。
【改正後】
➡ 改善状況を「直近3事業年度の平均値」で判断することも可能に。
これにより、「単年で改善が続かなかったため認定を断念した企業」も申請しやすくなります。
■ 改正②
新認定「えるぼしプラス(仮称)」を創設
女性の健康特性に配慮した制度がある企業を追加で評価
● 認定要件(一部)
- 女性の健康に配慮した休暇制度(例:生理・更年期に伴う休暇など)
- 以下の働き方制度のいずれかが利用可能であること
・半日・時間単位の年次有給休暇
・所定外労働の制限
・時差出勤
・フレックスタイム制
・短時間勤務
・テレワーク 等
➡ 既存の全段階(えるぼし1〜3、プラチナえるぼし)に「プラス認定」として付与可能。
■ 社労士からのアドバイス
企業が今取り組むべきポイント
- 「女性の健康課題」への対応は人事労務の新たな必須テーマ
(更年期、月経、妊活などに対する理解と制度整備が不可欠) - 認定取得は 採用力向上 や 離職防止 に直結
特に若年層・女性採用の競争が高まる中、企業価値を示す重要な指標になる。 - 認定のために必要な制度は、いずれも メンタルヘルスや長時間労働対策にも有効 なため、 働きやすい職場づくりにつながる。
- 制度導入にあたっては、 就業規則の改定、運用ルールの明確化、管理職研修 が不可欠。
- 貴社の現行制度のチェック
- えるぼし・えるぼしプラス認定取得に向けたコンサルティング
- 就業規則改定案の作成
このようなサポートのご希望があれば、やまぐちFP社会保険労務士事務所までお問い合わせください。
