雇用調整助成金の特例措置見直し ―自然災害対応は「原則1年」を基本に検討

企業が従業員の雇用維持のために活用する 雇用調整助成金(いわゆる「雇調金」) について、厚生労働省は 緊急時における特例措置の基本的な考え方 を労働政策審議会の職業安定分科会で示しました。自然災害のような有事における支援期間のあり方を整理する方向性が出されており、今後の制度運用にも影響が見込まれています。


雇用調整助成金とは?

雇用調整助成金は、事業活動の縮小で労働者を休業させる場合に支払う休業手当などの一部を国が助成する制度です(雇用保険法関係助成金)。事業主が労働保険の適用を受ける場合に利用でき、休業だけでなく教育訓練等も対象となります。


自然災害時の特例措置の見直し方針

2026年1月26日、厚労省は 労働政策審議会職業安定分科会 で、緊急時の雇用調整助成金の特例措置の基本方針を示しました。

自然災害時の特例期間は原則「1年を基本」

  • 災害発生時に助成率の引き上げや支給日数の延長などの特例措置を設ける場合、その期間は原則として1年を基本とする考え方を示しました。

これは、過去の災害対応の実績を踏まえたもので、特例を長期化しすぎると支援効果が薄れる傾向があることが別途の研究でも示されています(※後述)。


災害対応の条件と制度運用

自然災害の特例措置を行うには次のような条件も念頭に置かれるとされています

  • 政府の 災害対策本部が設置されていること
  • 「激甚災害」に指定されている場合は支給日数の引き上げ幅を大きくする可能性

といった要件を含め、実際の適用判断についても今後の審議で明確にしていく方針です。


経済変動時・感染症等への対応

自然災害以外の要因―例えば急激な経済変動時や 感染症拡大(COVID-19など) のような状況―では、雇調金や類似の助成制度(緊急雇用安定助成金など)を組み合わせ、状況に応じて柔軟に支援期間や内容を判断するとしています。これは前年までの感染症対応特例措置での経験が反映されたものと理解されています。


特例措置の背景(制度研究からの示唆)

厚労省の審議とは直接の連動ではありませんが、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT) の報告では、COVID-19関連特例措置の効果検証として:

  • 初期段階では雇調金は雇用維持に寄与した
  • しかし、特例措置の継続期間が長引くと効果の薄れがみられる傾向

が分析されています。こうした知見は「特例に期間上限を設ける意義」の理解にも資するものと考えられます。


今回の厚労省の動きは、自然災害などの緊急時における 雇調金の適用期間や支援内容の設計ルール(基本1年) を示したものです。今後、災害発生ごとにどのような支援パッケージが適用されるかは厚労省の省令や公式リーフレットで逐次公表されます。

やまぐちFP社会保険労務士事務所では、雇用調整助成金や、労働保険関連制度を踏まえた 人事労務リスク管理 のご相談に対応しています。最新動向を踏まえた制度活用や手続きの支援が必要な際は、お気軽にお問い合わせください。