年次有給休暇の取得が過去最多に

― データから見る制度定着と、企業が今後注意すべきポイント ―

厚生労働省が令和7年12月19日に公表した「令和7年就労条件総合調査」によると、令和6年における年次有給休暇の平均取得日数は12.1日となり、前年の11.0日から1.1日増加し、昭和59年以降で過去最多を更新しました。
取得率も66.9%と過去最高水準となっています。

一方、企業が付与した年次有給休暇の日数は平均18.1日であり、「付与されているが、まだ十分に使い切れていない」実態もうかがえます。

1.年次有給休暇制度の法的根拠

年次有給休暇は、労働基準法第39条により、一定の要件を満たす労働者に付与することが義務づけられています。

また、平成31年4月1日施行の改正労基法により、年10日以上の年次有給休暇が付与される労働者については、年5日の取得を使用者が確実に取得させる義務が課されています(労基法第39条7項)。

この「年5日取得義務化」は、今回の調査結果における取得日数・取得率の上昇に大きく寄与していると考えられます。
厚生労働省も、「年休の取得促進は長時間労働の是正と一体で進めるべき」と位置づけています(厚労省リーフレット「年次有給休暇の確実な取得について」)。

2.取得日数が増えても、企業のリスクは消えていない

取得日数が増加している一方で、実務上は次のような課題が依然として多く見られます。

  • 年5日は取得させているが、取得方法(時季指定)の運用が不適切
  • 管理簿の整備が不十分で、取得状況を正確に把握できていない
  • パート・有期雇用労働者への比例付与が誤っている
  • 取得を促しているつもりでも、実質的に取得しにくい職場風土

年次有給休暇の管理については、年次有給休暇管理簿の作成・保存(3年間)が義務づけられており(労基法施行規則第24条の7)、これが未整備の場合、労基署調査で是正指導の対象となります。

労基署の調査では、年休関係は依然として指摘事項の上位に挙げられています。

特に多いのが、

  • 時季指定の対象者・方法が曖昧
  • 就業規則と実態が一致していない
  • 管理職が制度を正確に理解していない

といったケースです。
年次有給休暇は労働者の権利であると同時に、企業にとっては法令遵守リスクの高い分野であり、制度の「形」だけでなく「運用」が問われます。

年次有給休暇をめぐる実務は、法改正後ますます複雑になっています。法令に沿った適正な運用ができているかを定期的に確認することが重要です。
年次有給休暇の管理や働き方改革対応に不安がある場合は、ぜひやまぐちFP社会保険労務士事務所へご相談ください。
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