1.制度の背景と現状
改正健康増進法は、令和2年4月に全面施行され、「望まない受動喫煙の防止」を目的として、多数の者が利用する施設について原則屋内禁煙を義務付ける制度として運用されてきました。
施行から5年が経過する中で、制度の定着状況や経過措置の妥当性を検証する段階に入っています。
2.専門委員会設置の目的
厚生労働省は、令和7年11月25日に「受動喫煙対策専門委員会」の初会合を開催しました。
今後の検討課題として、受動喫煙対策の在り方を再整理し、必要に応じた制度の見直しを行うことが目的とされています。
3.主な検討論点
- 加熱式たばこの取扱い
「当分の間の措置」とされてきた加熱式たばこについて、紙巻たばこと区別した現行の取扱いを継続すべきか、規制を見直すべきかが検討課題となっています。 - 既存特定飲食提供施設の特例措置
経営規模の小さい事業者が運営する既存飲食店に認められている喫煙可能の特例措置について、健康保護の観点から、今後の取扱いが論点となっています。
4.施行状況(厚生労働省資料より)
- 事業所や飲食店等における屋内全面禁煙の実施率は73.7%で、近年は横ばい傾向が続いています。
- 喫煙が可能な既存特定飲食提供施設に該当する飲食店の割合は約70.7%と推定されており、毎年約5%ずつ減少しています。
5.事業主・企業実務への影響
今後、加熱式たばこや既存飲食店に関する経過措置が見直される可能性があり、事業主には次のような対応が求められます。
- 就業規則や社内ルールの確認・整備
- 喫煙室設置の適法性の再確認
- 従業員への周知徹底と職場内トラブル防止策の検討
特に飲食業や小規模事業者においては、将来的な全面禁煙を見据えた段階的な対応が重要となります。
6.まとめ
改正健康増進法は、施行から5年が経過し、制度の定着とともに、暫定措置の整理や次の規制段階への移行が検討される局面を迎えています。
事業主としては、現行法令の遵守にとどまらず、今後の制度改正を見据えた先行的な対応を進めることが、労務管理上のリスク低減につながります。
